歯内療法は、今も昔もツールはさほど変わらない。

・Ni-Tiファイルにおいても、Peters OA らはNi-Tiファイルと根管壁は35%程度接触していない部分があることを報告している。
また、感染源除去の重要なステップとして「洗浄」が挙げられる。
現在の歯内療法ではファイルや器具の届かない場所には、次亜塩素酸ナトリウムの非特異的な殺菌作用を期待し、洗浄液をいきわたらせる方法が推奨されている。
しかし、根尖部など感染が長期に及んだ根管壁は軟化して齲蝕象牙質の様相を呈している。
そのような部分が洗浄のみでどこまで感染源を除去できるかは未知数である。
(参考文献)
Peters OA, Laib A, Gohring Tn, Barbakow F. Changes in root canal geometory after preparation assessed by high resolution computed tomography. J Endod 2001 ; 27 : 1-6.
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近年、マイクロスコープ等の機器が発達し、かつては見えなかった根管内が現在では見える時代になってきました。
一方で、根管内をきれいにするツールの進歩は、まだまだ遅れています。
そのため、実際の根管治療は従来法とあまり変化はありません。
今回紹介した文献では、根管内を清掃する最新式のNi-TIファイルを使用しようとも、ファイルが根管壁に35%程度接触していない部分があることが分かりました。
齲蝕象牙質はバイオフィルム化していますから、その部分を除去し、可能な限り根管内を洗浄することが肝要と考えられます。
ただし、私たち歯科医師は、費用対効果を充分に考え、根管治療後に補綴治療をするのか、最初からインプラント治療を視野に入れるのか、過去の研究報告をベースに、患者さんとともに一番無駄のない治療計画を立案する必要があるでしょう。

2015年1月20日

hori (15:39)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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