糖尿病患者は根管治療の成績が非糖尿病患者に比べて著しく劣る。
・糖尿病患者の根尖病変の罹患率は、非糖尿病患者に比べて高いことが報告されています。
糖尿病患者の創傷治癒は非糖尿病の方に比べて遅延する傾向にあるのはよく知られていますが、これは根尖病変においても例外ではないようです。
2型糖尿病患者の根尖病変では根管治療の効果が表れにくく、治療開始時にX線写真で病変を認めた症例での根管治療の成功率は、非糖尿病症例のそれに比例して著しく劣る傾向にあることが報告されています。
糖尿病および非糖尿病の人口比率は増加傾向であることから、それに伴い根尖病変の難治症例も増加していくと考えられます。
(参考文献)
Britto LR ,Katz J, Guelmann M, et al. Periradicular radiographic assessment in diabetic and contol individuals. Oral Surg Oral Med Pathol Oral Radiol Endod. 2003; 96(4): 449-452.
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糖尿病の患者さんは一般に傷が治りにくいとされますが、今回の論文で根管治療の成功率も著しく悪いということが明らかになりました。
根管治療の成績が悪いのは、根尖部の免疫力が低いために結果が不確実なものとなるためと考えられます。
根尖病巣を作らないように、特に糖尿病の患者さんの場合においては、1回目の根管治療で確実な処置をしなければならないということになるでしょう。
また、抜歯してインプラント治療をする場合でも、糖尿病の患者さんでは通常の患者さんとは区別して考える方が無難かもしれません。
インプラント埋入とともに骨造成や付着歯肉の増大処置等を同時に行うことは、リスクとなる場合があるからです。