根管治療とインプラント治療はどちらが痛い?

根管治療の文献的なフレアアップの発生頻度は8.4%です。
まだ明らかにされていない関連因子がたくさんあると思います。
根尖周囲に透過像がある患歯ではそうではない患歯の9.6倍フレアアップが起きる確率が高いことも根管内に棲息する細菌量が前者の方が多いことを考えれば納得できます。
(参考文献)
Tsesis I, et al. Flare -ups after endodontic treatment : a meta-analysis of literature. J Endod. 2008. ; 34 : 1177-1181.
Iqbal M, et al. Incidence and factors related to flare-ups in a graduate endodontic programme. Int Endod J. 2009 ; 42 : 99-104.
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フレアアップとは、根管治療の際に急に痛みが出る現象で、痛くなかった歯が痛くなるために、歯科医師は患者さんに十分な説明をしておく必要があると思います。
(この根管治療時のフレアアップは、通常の抜歯より痛みレベルが高いことが多いです。)
根の先に病気がある場合、このフレアアップが起きる確率がそうではない場合と比較して10倍近くにも上昇するわけですから、患者さんサイドは、1.痛くなかった歯が痛む可能性があること、2.歯科医師が慎重に根管治療を行おうとするゆえに、治療が長期化する可能性があること、3.長期に亘る根管治療を受けたうえに、根の病気が治りきらない場合があること、そしてもう一つは4.根管を無菌的に治療できても、必ずしも長期に安定した差し歯ができる保証はないということを理解した上で治療を受けなければならないと私は考えています。
ちなみに、こと痛みに関していえば、インプラント治療、特に抜歯即時インプラントは、フレアアップを起こした根管治療よりも痛みレベルがはるかに低い治療法といえます。

2015年4月20日

hori (16:07)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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