下顎大臼歯近心中央根管とは?!
・ヒト下顎大臼歯の近心中央根管の発生率を、臨床的に調査。
対象はアメリカ人、75歯中、15歯(20%)に穿通可能な近心中央根管が存在した。
年齢層により有意差があったが、性、大臼歯のタイプは、有意差がなかった。
21歳以下: 32%程度
21-40歳: 24%程度
40歳以上: 4%程度
(参考文献)
Nosrat A, et al. Middle mesial cannals in mandibular molars : incidence and related factors. J Endod. 2015 ; 41 (1) : 28-32.
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これまで、大臼歯の近心根は近心頬側根管と近心舌側根管の2根が存在することが多いと考えられてきました。
そして、その2つの根管の間にはイスマスという溝が存在し、その部分には歯の病気を引き起こす細菌が存在するということが明らかになってきました。
そしてさらに今回の報告で、そのイスマスの中に根管が結構な頻度で存在することが明らかになりました。
また、この近心中央根管の出現率ですが、40歳以上では4%程度、21歳以下では32%程度ということで、統計学的有意差が認められたとのことです。
年齢によって、これほど出現頻度が異なるのは、興味深い現象です。
近年、顎が小さいにも、大きな歯が萌出してきているお子さんは少なくありません。
本来、比較的丸い形態をしていた大臼歯も、狭い顎骨の中で萌出する過程で、押しつぶされて複雑な形態になってきている可能性も考えられます。
そのように考えると、大臼歯の形態が複雑化してくると、その内部の神経の分布も複雑化してくるのではないでしょうか。
今後、近心根の3つ目の根管の存在の可能性を疑って根管治療を行う必要性は、若年者に対する根管治療の際には、特に必要になることでしょう。