側切歯の湾曲は口蓋遠心側に多い。
116人の患者の186本の上顎側切歯のCBCT画像を解析した。
すべての歯に湾曲を認めたが、根尖測1/3における湾曲が他の歯計測1/3に比べて大きかった。
最大の湾曲点は、根尖から0.5ミリと根尖に近い場所であった。
口蓋側への傾斜が87.6%、唇側への傾斜が12.4%、一方、遠心への傾斜が88.2%、近心が11.8%であり、根尖部は遠心-口蓋側に湾曲していることが多かった。
(参考文献)
Park PS, Kim KD, Perinpanayagam H, Lee JK, Chang SH, Kaufman B, Zhu Q, Safavi KE, Kum KY. Three-dimensional analysis of root canal curvature and direction of maxillary lateral incisosrs by using cone-beam computed tomography. J Endod, 39 : 1124-1129, 2013.
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上顎側切歯の湾曲は、口蓋側遠心側に多いことが明らかになりました。
通常、根尖性歯周炎で排膿する場合、歯槽骨の最も薄い部位を破壊します。
上顎中切歯や上顎犬歯といった上顎前歯部では唇側に瘻孔形成する印象があります。
しかしながら、上顎側切歯の場合、根尖が唇側よりも口蓋側に近接することがあるので、口蓋側に腫脹が認められる場合があります。
従来の根管治療で解決すれば一番良いですが、治癒が不完全である場合、歯根端切除術が必要となる場合があります。
唇側からのアプローチ、口蓋側からのアプローチの二通りがあると思いますが、難易度が低い方を選択すればよいと考えられます。
上顎側切歯の根管治療を行う際には、難治性根尖性歯周炎になった場合のことも頭の片隅に置いて、心して取り組まなくてはならないと考えています。