大きな根尖病変に対する根管治療後の予後予測因子

大きな根尖病変に対する根管治療後の予後予測因子 CBCTを用いた後ろ向き研究
(研究目的)
大きな根尖病変を有する歯の根管治療後、完全に治癒するまでの期間及び影響を与える因子をCBCTによる経過観察で評価すること。
(研究内容)
最大径10-15ミリの根尖病変を有する79歯に対して、歯内療法専門医が根管治療を行った。
その後6か月おきに口内法デンタルエックス線撮影、12か月おきにCBCT撮影を行い、48か月の経過観察を行い、根管治療のみで根尖部透過像が完全に治癒するまでの期間を評価した。
治療前の透過像の体積、年齢、性別、治療の種類(初回根管治療か再根管治療)、および根管充填材の種類が病変の治癒期間に与える影響を解析した。
(研究結果)
治癒しなかった19歯中14歯には外科的歯内療法、5歯では抜歯が行われた。
治癒期間を有意に延長させる因子として、患者の年齢および術前の透過像の体積が特定された(p<0.001)。
性別、根管充填材、治療の種類は治癒に影響を与えなかった(P>0.05)。
(結論)
大きな根尖病変を有する歯の根管治療においては、患者の年齢、病変の大きさが治癒期間に影響を与えることが示唆された。
CBCTを用いた経過観察は、根尖病変の状態を詳細に評価することができ、経過観察期間における治療方針決定の一助となることが示された。
(参考文献 Mosquera-Barreiro C, Ruiz-Pinon M, Sans FA, Nagendrababu V, Vinothkumar TS, Martin-Gonzalez J, Martin-Biedma B, Castelo-Baz P. Predictors of periapical bone healing associated with teeth having large periapical lesions following nonsurgical root canal treatment or retreatment: A cone beam computed tomography-based retrospective study. Int Endod J, 57(1) : 23-36,2024.)
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大きな根尖病変を有する歯牙に対する根管治療の効果をCBCTで予後予測が有効であることは、頭で考えただけでも当然と考えられます。
しかしながら、今回の論文では具体的な数字が示されたことにその価値があると考えられます。
すなわち、完全治癒の割合が76%、不完全治癒が24%。
その不完全治癒のうち、74%に対して、追加で外科的歯内療法を行い、26%に対して抜歯を行ったという結果でした。
また、根尖病変の大きさが小さいほうが、そして年齢が若い方が治癒期間は短縮する方向に向かいやすく、完全治癒の平均期間は完全な治癒は76%(60/79歯)で認められ、その平均期間は19か月という結果でした。

2024年10月15日

hori (08:49)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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