WaveOneのトランスポーテーション発生程度

・マイクロCTによる根管拡大・形成後に生じるトランスポーテーションおよび中心軸位置の三次元的解析
プロテーパーファイルとWaveOneファイルとの比較
比較検索した2種類のファイル(ファイル先端#25、テーパー0.08)ではトランスポーテーションと中心軸位置の発生程度に有意差はなく、Beruttiらが報告したWaveOneシステムで本来の根管形態がより維持されたとする結果と異なっていた。
本研究では、プラスティック製根管模型ではなく、ヒト抜去歯を使用したことが大きく影響したと考えられる。
今後の課題として、大きなサイズのファイル(ファイル先端#40、テーパー0.06)を使用した場合、トランスポーテーションおよび根管の中心軸位置偏位がどのような状況になるかを見極める研究が必要である。
(参考文献)
A Micro-computed Tomography-based Comparison of the Canal Transportation and Centering Ability of ProTaper Universal Rotary and WaveOne Reciprocating Files. McRay B, Cox TC, Cohenca N, Johnson JD, Paranjpe A. Quintessence international 2/2014,11-108.
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WaveOneシステムは以前、歯内療法の分野に鳴り物入りで登場しました。
このWaveOneシステムは、私も学会の展示ブース等でかなり食指動きましたが、いつものように『最新が最善とは限らない。』と考え、購入はしばし保留としていました。
WaveOneシステムのレシプロ反復回転運動は、根管形態を逸脱せず湾曲を追従し、ファイルも破折しにくいということがウリでしたが、従来品のProtaperファイルとトランスポーテーションおよび中心軸位置については、有意差がなかったようです。
これに限った話ではないのですが、業者が提示するエビデンスはいいこと尽くしで、その反対意見等は少し遅れてから出てきます。
業者と組んでいる研究者は、双方にとって都合の良いデータを"エビデンス"と称して、商品の売り込みをします。
インプラントの分野でも全く同じことが言えます。
注意が必要ですね。

2015年9月 5日

hori (15:56)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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