主機能部位という側面でも義歯よりインプラントに軍配が!

・我々は、同等の臼歯部咬合支持の喪失を示す患者に対して、局部床義歯かインプラントで補綴処置した場合の主機能部位について分析を行った。
その結果、インプラントにおいては、92.3%の患者で主機能部位が大臼歯部に存在し、ほぼ天然歯の場合と同等の結果であったが、局部床義歯において70.8%にとどまった。
このように補綴装置の違いによって主機能部位が異なることが判明し、補綴装置のレジリティが関与している可能性が示唆された。
(参考文献)
山下秀一郎:21世紀の戦略的補綴 パーシャルデンチャーを科学する. The Quintessennce,24 (4) : 79-88,2005.
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保険診療ではアンテの法則に則ってブリッジの設計が決定されています。
また一般に歯科では、ブリッジが可能であればブリッジによる治療を行いますが、不可能であれば義歯による治療を行います。
具体的な例を挙げれば、大臼歯部では2本喪失しただけで、義歯使用を余儀なくなれている患者さんがいる一方で、前歯部では4本喪失してもいまだブリッジの治療を受けることが可能です。
そのような意味では、義歯を使用している患者さんは、前歯部より大臼歯部を喪失したことによって、義歯を使用している方が多いものと推測されます。
一方、今回の報告により、インプラントにおいては、92.3%の患者で主機能部位が大臼歯部に存在し、ほぼ天然歯の場合と同等の結果であったが、局部床義歯において70.8%にとどまったという結果が得られました。
これを受けて、大臼歯部の欠損に対して、義歯を使用している患者さんが多いという前提で考えるのであれば、仮に大臼歯部を義歯で咬合させる状態を歯科医師が提供したとしても、患者さんはそれよりも前方の天然歯部分で咬合しているケースがある一定数存在するといえるということになります。
すなわち、義歯は使用していても、咬んでいる部分は自分の歯の部分であるということになります。
また義歯を入れていても、入れていなくても、咬む部分は結局自分の歯であるならば、義歯自体使用することをやめてしまう患者さんもいるかもしれません。
そして今回のデータは、大学病院の歯科医師が理想的な義歯を製作した結果をベースにした報告と考えられるので、一般の義歯患者さんのデータはインプラントの92.3%という数字はもちろん、70.8%という今回の局部床義歯の数字からも大きく低下した数字であることが予想されます。
この数字の差が義歯よりもインプラント方が良く噛めることと関連しているように考察されます。

2019年9月25日

hori (08:10)

カテゴリ:インプラントとブリッジ

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