トラブルが増大するカンチレバーの長さとは?

・総じて、カンチレバーの長さと、インプラントの喪失、補綴装置の技術的合併症、辺縁骨の吸収量とは正の相関があり、トラブルを経験しているカンチレバーブリッジのカンチレバーの長さはおおよそ8ミリを超えていると報告されている。
一方でトラブルのないものの平均は8ミリ未満である。また、カンチレバーブリッジの支台であるシングルインプラントと、カンチレバーのないシングルインプラントの間では、辺縁骨レベルの平均変化量に差はないとされており、シングルインプラントの上部構造にカンチレバーを付与することは一概に否定できないようである。
なお、カンチレバーブリッジに付与すべき適切な咬合様式に関しては、現在のところ不明とされている。
(参考文献)
Kim P, Ivanovski S, Latcham N, Matteos N. The impact of cantilevers on biological and technical success outcomes of implant-supported fixed partial dentures. A retrospective cohort study. Clin Oral Implants Res 2014 ; 25(2) : 175-184.
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implant-supported fixed partial denturesにおけるカンチレバーの長さということになるので、いわゆるオールオン4の遠心カンチレバーの長さに関する研究報告でした。
インプラントブリッジでは基本的に遠心カンチレバーは当院では行いませんが、近心カンチレバーであればある程度の長さがあっても、咬み合わせの付与の仕方によっては十分に長期に安定する設計であると考えています。
ただし、カンチレバーよりも前方に存在する歯牙やインプラントが喪失する事態になれば、状況は大きく変化することになるので、定期的な歯科医師によるチェックは必須になるものと考えられます。

2020年11月 5日

hori (08:44)

カテゴリ:インプラントとブリッジ

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