コーヌスクローネは、維持歯7:人工歯7で安定する。
・コーヌスクローネが口腔内において不安定なる要素は、義歯床が動くことによるものがほぼすべてであり、最終的に安定が得られるかどうかは、この維持歯と義歯床(人工歯)の割合が一つの判断基準となる。
筆者らの経験では、50:50(維持歯7:人工歯7)である場合にはほぼ問題が起きにくく、ここから人工歯(義歯床)の割合が高くなればなるほど、コーヌスコローネ本体の安定性が低くなる傾向がある。
(補綴臨床 2015年5月号 )
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問題が生じにくいコーヌスクローネの要件としては、片顎で維持歯が7本以上あること、維持歯を線で結んだ際に再現される回転軸が複数存在し、対合関係や各維持歯の骨植状態が良好であることが分かりました。
これはすなわち、ブリッジができるレベルの維持歯数があり、その状態も比較的良好な場合にコーヌスクローネは安定するということになります。
私は、ブリッジができないところに、インプラントや義歯の設計を考えることが多いので、ブリッジが可能な段階で、義歯の一種であるコーヌスクローネを患者さんにお勧めすることはありません。
しかも、日本人にコーヌスクローネを計画する場合、神経を除去しなければ、維持歯の平行性がとれないことが多いのが現状です。
また、維持歯が、失活歯であるがゆえに、歯根破折を起こしたり、脱離した維持歯を再度接着した場合に完全に元の場所に戻すのは意外と困難であるという問題点もあります。
さらに、コーヌスクローネを製作できる技工士さんがそれほど多くはないという問題もあります。
おそらく義歯で最も長期に安定する可能性があるのは、コーヌスクローネなのですが、患者さんにお勧めしにくい様々な問題点もあるのもまた事実ということになるでしょう。
コーヌスクローネタイプのインプラントは同じように長期安定が見込める治療計画ですが、同じく治療費がブリッジタイプ(スクリューリテインやセメントリテイン)の場合より高額になるのがデメリットとなります。