BP治療下患者に対するインプラント治療および骨増生

・ビスフォスフォネート治療下における自家骨を用いた大規模骨造成およびインプラント埋入 : 15のケースシリーズ
BP治療下にある患者は、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(以下 BRONJ)との関係性のために、インプラント治療および骨増生に対し高リスクとなる。
個人のリスクプロファイルに従って選択された。
問診より骨粗鬆症のためBP製剤を服用中との15名の患者に対し、大規模骨増生および歯科インプラント埋入を行った。
47部位においては、採取した下顎ブロック骨をブロック骨分割テクニックに従って移植し、14部位には上顎洞底拳上術を施した。
71本のインプラントを埋入し、4か月後に補綴治療を行った。
大部分の移植骨は期待通り治癒し、計画通りの部位にインプラントを埋入できた。
2名の患者に移植骨の不完全な治癒を認めたため、インプラント埋入時再度骨増生を施した。
他の2名に軟組織の限局した壊死を認めたが、局所麻酔で問題なく対応できた。
即時荷重を行ったインプラントが1本喪失した。
すべてにおいて治癒は順調であり、BP製剤使用の既往がない患者と同等であった。
最長6年のフォローアップ期間中、重度の骨吸収、BRONJ、感染もしくはインプラント周囲炎は生じず、すべてのインプラントは臨床的にもX線学的にも良好なオッセオインテグレーションを維持した。
個人のリスクプロファイルに応じてBP治療を制限することで、骨増生を成功裡に行うことが可能であった。
さらなる調査研究が必要である。
(参考文献)
Extensive Autogenous Bone Augmentation and Implantation in Patients Under Bisphosphonate Treatment : A15
-case Series. Founad Khoury, DMD,phD / Herman Hidajat,DMD Int J Periodontics Restorative Dent 2016; 36:9-18. doi: 10.11 607/prd.2608.
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一般に、ビスフォスフォネート(以下BP)治療下にある患者は、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(以下 BRONJ)との関係性のために、インプラント治療および骨増生に対し高リスクと言われています。
また、BP製剤を内服薬として服用している人よりも注射薬として静脈内注射している人の方が、BRONJのリスクは高いともいわれています。
今回の文献では、BP製剤を内服薬として服用している人を対象に骨増生を含めたインプラント治療を行った結果、BP製剤使用の既往がない患者と同等であることが明らかになりました。
今回紹介した文献はアブストラクトのみということもあり、内服薬の服用期間が書かれていないので、更なる情報収集をしたうえで、実際のインプラント臨床に役立てたいと考えています。

2016年11月10日

hori (16:34)

カテゴリ:インプラントの禁忌症

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