インプラントの傾斜角度がカラー部のひずみに及ぼす影響
・インプラントの傾斜角度がカラー部のひずみに及ぼす影響
本研究はJIS2種純チタンの加工硬化材、JIS4種純チタン、Ti-6A1-4V合金を用い、それぞれ2ピース型のインプラントを製作した。
このインプラントのカラー部にひずみゲージを張り付け、角度10度、20度と30度に傾斜させ荷重を負荷し、それぞれのひずみの測定および最大曲げ荷重の測定とCTによる内部観察を行った。
その結果以下の結論が得られた。
各インプラントのそれぞれの傾斜角度での最大の曲げ荷重はG5G5が最も大きく、次いでG4G4、そしてGWGWの順であった。
インプラントカラー部のひずみは負荷する荷重とともに増加したが傾斜角度10度と20度において各インプラント間のひずみには有意差が認められなかった。
傾斜角度が30度における荷重400N以上のカラー部のひずみはGWGWがG4G4およびG5G5よりも大きい結果であった。
曲げ試験後、CTによる試験片の内部観察においてアバットメントのねじの破折はテーパー太ねじの境界部で生じており、破折していない場合はアバットメントが塑性変形し、ところどころに亀裂が観察された。
傾斜角度20度以上で植立する場合は、カラー部の強度が大きいインプラントを選択することが示唆された。
(参考文献)
岩田雅裕, 松田健男, 臼井龍一, 秋本清, 河野恭範, 植木晋, 村上智, 伊藤充雄. インプラントの傾斜角度がカラー部のひずみに及ぼす影響. 日本口腔インプラント学会誌. 2018. No.4 Vol.31 12. 64-73.
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傾斜埋入を前提とするオールオン4では、メーカーが最大40度までアバットメントを傾斜させることが可能と謳っていることを以前聞いたことがあります。
しかしながら、今回の研究報告をもとに考えると、インプラントの傾斜角度は20度以内に抑えた設計にする方が無難であると考えられます。