発音による咬合高径決定法

・発音は咬合高径決定に有効であるとされ、参考とされる発音はS音である。
S音だけでは判断が難しいため、mississippiやyes等の単語で繰り返し発音してもらう。
上顎切歯の間に約1ミリのスペースがないと舌は空気のコントロールができず、舌足らずの発音となる。
このS音を発音するとき、切歯をedge to edgeで発音する人は70%、最大嵌合位で発音する人は30%というデータがある。
ただし、Angle2級、3級の咬合の患者ではICPでS音を発音することはまれではないという。
Angle2級、3級の患者が比較的多い傾向の日本人では、欧米の30%より多い可能性がある。
例えば、プロビジョナルレストレーションで咬合高径を拳上している患者で、S音(日本語では「さしすせそ」)の発音障害が生じた場合を例にしてみる。
edge to edgeでS音を発音するタイプの人の調整は煩雑であり、困難である。
拳上した咬合高径を戻すか、拳上量を少なく調整する。
または発音障害に適応できるかどうか長期間で観察する、などのプログラミングが達成され、その咬合高径の後戻りあるいは神経筋機構のリプログラミングが達成され、その咬合高径で適応が可能かどうかを6か月程度かけて経過をみる。
その期間の観察と咬合調整には、臼歯のオクルーザルコンタクトのチェックと特定の歯にフレミタスが出ていないかを調べる。
上下切歯の接触は、咬合紙に抵抗がありながらも、抜けている程度を目安として調整する。
なお、発音体系が英語などと異なる日本語では、このような問題の出現は稀かも知れない。
(参考文献)
Frank Spear. Spear perspective. The art scaience of exceptional esthetic dentistry. Dr Frank Spear Course &Seminars.
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インプラントを用いた咬合再構成では、咬み合わせを復元する過程で、咬み合わせの高さを拳上する場合があります。
歯を復元する際に上下的な距離が不足するようなケースに対してです。
その高さで咬み合わせを復元して問題がないか確認するために、S音等のスムースな発音の可否が役立つということになります。
また、インプラントは通常、上顎であれば口蓋側に、下顎であれば舌側に埋入することが多いですが、それはすなわち、いわゆる"舌の部屋"を狭くする行為になります。
舌の部屋が狭いと舌は咽頭を塞ぐ方向に、ニュートラルな位置を後方に位置取ることが多いように感じますが、まれにその狭い状態に身体が拒否反応を示す場合もあるように感じます。
患者さんにはその狭い状態になれる場合がほとんどですが、時間をかけて患者さんサイドもその状態に慣れる努力をするとともに、発音練習を行うことも必要になるでしょう。

2018年8月 5日

hori (14:42)

カテゴリ:インプラントと発音

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