矯正的挺出と骨移植の有効性の比較。

・矯正的挺出と骨移植の有効性を比較するうえで重要なのは、それぞれの硬・軟組織増大量および変化量である。
それらについての明確な記載も少なかったが、矯正的挺出の前向き臨床研究であるAmatoらの文献によると、矯正的前処置によって4ミリの硬組織が獲得できた一方、骨移植例に言及したほかの論文では硬組織の変化量は、骨移植材料やメンブレンの有無など術式が多様多種であり、確定的な限界値や骨変化量言及することは難しいとえる。
Pieriらはレイマスのブロックを用いており、骨増大量は水平的には4.23±0.69ミリ、垂直的に1.71±0.75ミリと報告している。
矯正的挺出例では歯肉縁の冠状方向への平均移動量は3.9±1.5ミリ、歯肉の厚さ(頬舌径)の平均増大量が0.7±0.4ミリと示されており、頬舌的な増大量は骨移植と比べて少ない。
これは、矯正的挺出法では骨の頬舌的な増大量が歯根の断面積に依存するためだと推測されている。
頬舌的な骨幅をより増大させたい場合には骨移植の方が有用であるかもしれない。
矯正的挺出法の場合には、オーバーコレクションを行っておく必要があると思われる。
治療期間は、矯正的挺出では18-61か月である対して、骨移植では多くが12か月と矯正的挺出が時間を要する結果となっていた。
合併症とインプラント生存率に関して差はなかった。
(参考文献)
Peri F, Aldini NN, Marchetti C, Corinaldesi G, Esthetic outcome and tissue stability of maxillary anterior single-tooth implants following reconstruction with mandibular block grafts : 5-year prospective study. Int J Oral Maxillofac Implants 2013 ; 28(1) : 270-280.
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矯正的挺出にしても骨移植にしても治療期間が長くなる傾向にあるので、まずは抜歯即時インプラントで対処できないか当院では考えるようにしています。

2020年10月15日

hori (10:03)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

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