インプラントと骨造成の最近のブログ記事

ソーセージテクニック

・筆者はすべての喫煙者に対して、手術の3か月前から禁煙を行うように指導し、最低でも移植部位の初期の治癒期間である最短3週間は禁煙プログラムを継続するようにしている。
・筆者は3か月間喫煙しなかった患者は、治療期間を通じて喫煙を再開することはないことも見出している。
・アモキシシリンは最良の選択である。
手術の1時間前に2gのアモキシシリンを経口投与し、500ミリグラムを1日3回、手術後1週間投与することが推奨される。
大規模な骨移植をした場合は、この処方期間は10日間に延長することもある。
・外科手術のあと24時間経過するまで、患者にはうがいをさせないようにする。
外科手術の翌々日から患者に1日2回のクロルヘキシジンによる含嗽を開始させる。
含嗽は10日間行う。
・単純結節縫合は術後10-14日、マットレス縫合は2-3週間で抜糸する。
(垂直的および水平的歯槽堤増大術 )
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ソーセージテクニックで有名なDr.Istvan Urbanの書籍からの抜粋です。
禁煙プログラム、投薬、含嗽や縫合についての具体的な方法が明記されていました。
難しい手術であればあるほど、このような基本的部分が結果を左右する可能性があります。
今一度自分の臨床を顧みたいと考えました。

2018年8月25日

hori (11:23)

カテゴリ:インプラントと骨造成

眼窩下神経の副孔は、11.5%の患者でみられる。

・一般に顔面神経や三叉神経は組織内深くに位置しているために、組織を歯冠側に移動する際に損傷しやすいわけではないが、上顎小臼歯部でフラップを伸展する前に、眼窩下部の下縁を触診して眼窩下孔の位置を把握しておくのが賢明である。
眼窩下管は眼窩下縁の5ミリ下方であり、通常は瞳孔を通って垂直に引いた想像上の直線上にあるので、位置を認識する際の目安となる。
フラップの減張は、眼窩下神経とその末梢枝を損傷しないように、この神経組織から距離を保たなくてはならない。
もし外科手術が眼窩下孔に近接して行われるならば、神経の損傷を避けるため、粘膜下結合組織内に減張切開を行う前にこの神経を孤立させるのが賢明である。
眼窩下神経の副孔は、11.5%の患者でみられる。
一般に、血管や神経の枝がどこに存在するかを正確に知ることはできないため、組織内にあまりに深く切開しないことが望ましい。
(The Fabric of the Modern Implantology )
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減張切開も少し前は、一度メスを入れて減張が不足する場合は、さらに深く入れるのがスタンダードと記憶していましたが、現在はメスの背で鈍的に剥離する方法に変わってきているようです。
やはりスタンダードは時代とともに変化しますね。

2018年1月25日

hori (08:56)

カテゴリ:インプラントと骨造成

下顎管が2つ存在するケースは、0.08-0.9%程度。

・数多くの下顎管には多数の分岐が見られることがあります。
部位として多いのは、下顎枝部と下顎智歯部です。
ただし、その多くは分岐後再度吻合しています。
出現頻度が高いものに、下顎管が臼後部で上行して、歯槽頂部に開口する臼後管が挙げられ、その出現頻度は約20%と報告されています。
一方で、きわめて稀ではありますが、下顎管が初めから2つ存在する例も報告されています。
発症率は0.08-0.9%程度されています。
(参考文献)
内藤崇孝. デンタルインプラント治療における画像診断. 口腔外科学会雑誌. 2009 ; 55 : 116-121.
Claey V, Wackens G. Bifid mandibular canal : literature review and case report. Dentomaxillofacial Radiol 2005 ; 34(1) : 55-58.
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症例によっては、下顎管が分岐しているものもあります。
パノラマレントゲンでは、下顎管の分岐の判断は困難でしょうから、やはりCTでの術前診断が必須となります。
もし、下顎管が2本存在する場合、当然のことながら、歯槽骨上縁から、2本あるうちの上の方の下顎管の上端までの距離が、インプラントを埋入できる長さということになります。
そういえば、当院にも下顎管が2本存在する方が、インプラントの相談に来院された方がいました。
結果的には、私がその方に施術することにはなりませんでしたが、もし当院で契約をされた場合には、第一選択はショートインプラント、第二選択はGBR後にインプラントとなるかと思います。
下歯槽神経移動術のように、下歯槽神経を移動させる方法もありますが、分岐しているようなケースでは、麻痺がより生じやすくなると推測されます。

2017年4月10日

hori (11:05)

カテゴリ:インプラントと骨造成

骨の再生には感覚神経の再生も重要か?

Semaphorin3Aというたんぱく質において高発現しているが、その役割については不明な点が多かった。
Semaphorinは、もともと細胞間のシグナル伝達にかかわる一連のタンパク質群で、神経回路の形成や免疫細胞の調節に関わっており、7つのサブファミリーに分けられている。
Semaphorinは主として神経系の働きを調節していることが知られており、特にSemaphorin3Aは神経軸索の再生に関わるほか、免疫系においては樹状細胞が微小リンパ管を移動することに関わると報告されていた。
2013年に慶応大学の福田らは、神経に発現しているSemaphorin3Aを特異的にノックアウト(遺伝子欠損)すると骨量が減少し、しかもそのノックアウトマウス(Semaphorin3Aタンパク質がないマウス)では海綿骨中に分布する感覚神経の数が減少していることを報告した。
また、通常のマウスでも感覚神経を切除すると骨量が減少することから、正常な骨代謝はSemaphorin3Aによって調節される感覚神経の発生が重要な役割を果たしていることが明らかになった。
このような報告から見ると、骨再生においては脈管系の再生と同様に、感覚神経の再生も必要であるかもしれない。
顎骨再生 より)
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インプラント治療で歯槽骨量が不足している場合、いわゆる骨造成を行います。
この骨造成とは萎縮した顎堤に自家骨を別のところから持ってきて、必要な部位に盛り足す治療行為を指します。
仮に自家骨であっても、骨が生着するころには、持ってきた自家骨が30%近く目減りすることを考えると、骨造成した部位に神経や血管が張りめぐらされた状態にできる範囲が骨造成の限界量なのかもしれません。
仮に造成時にSemaphorin3Aを増やすことが可能であれば、骨造成の限界量も増大させることができる可能性があります。今後の研究に期待したいところです。

2016年2月20日

hori (15:42)

カテゴリ:インプラントと骨造成

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