2-IODの維持力を大きくしても、満足度向上には繋がらない。

・下顎の2インプラントオーバーデンチャー(2-IOD)装着者における装着後の維持力の大きさが患者満足度とQOLに与える影響
目的:本研究の目的は、下顎の2インプラントオーバーデンチャー装着者において、装着後の維持力の大きさが満足度とQOLに与える影響を明らかにすることである。
材料と方法:大学附属病院において治療した無歯顎症例で、下顎には2本のインプラントに単独のアタッチメントを装着したインプラントオーバーデンチャー、上顎はコンプリートデンチャーにより治療したものを対象とした。
オーバーデンチャーの維持にはボールまたはロケーターアタッチメントを使用した。
すべての患者に対してトルコ版のOral Healh Impact-14(OHIP-14)とビジュアルアナログスケール(VAS)形式の満足度の調査を実施した。
オーバーデンチャーの装着後の維持力の測定には特製の動的試験装置を用いた。
結果:本研究では55名の患者を対象とした。
装着後の維持力とVAS値との間には有意な相関はなかった。(P>0.05)。
結論:本臨床的研究の制約の中で、装着後に大きな維持力を有するインプラントオーバーデンチャーはより良好なQOLを提供するが、満足度には影響を与えないことが推定された。
(参考文献)
The influence of momentaly retention forces on patient satisfaction and quality of life of two-implant-retained mandibular overdenture wearers. Geckili O, Cilinger A, Erdongan O, Kesoglu AC, Bilmenoglu C, Ozdiler A, Bihan H, Int J Oral Maxillfac 2015 ; 30(2) : 397-402.
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当院でも、ロケーターアタッチメントを使用した2-インプラントオーバーデンチャーを提供しています。
ロケーターアタッチメントのパッケージには、維持力の異なる複数のリプレースメントメールが一つになっています。
ブルーが680g、ピンクが1361g、クリアが2268gという具合です。
維持力がもっとも弱いブルーでもそれなりの維持力があるという印象があったので、ブルーを使用してきました。
そんな中、今回紹介した文献でも、ロケーターアタッチメントの維持力が高いからといって、満足度には影響が与えないことが分かりました。
咀嚼する度に沈下する粘膜と全く沈下しないインプラントが共存するためには、患者さんの満足度に影響を与えない範囲で、インプラントへかかる力が弱い方が安心だと考えています。

2015年11月15日

hori (16:19)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

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