ロケーターアタッチメントの機械的偶発症
・ロケーターアタッチメントの機械的偶発症
インプラント間角度が増加するほど、維持力の減衰は早期に発生することが分かる。
メーカー発表では交換頻度は3-4か月と謳われている。
1. インプラント間角度が0°
初回維持力81.75N
75%維持力低下 約6400回着脱
50%維持力低下 約1100回着脱
25%維持力低下 約500回着脱
2. インプラント間角度が10°
初回維持力が91.94N
75%維持力低下 約4800回着脱
50%維持力低下 約1100回着脱
25%維持力低下 約450回着脱
3. インプラント角度が20°
初回維持力が104.72N
75%維持力低下 約2900回着脱
50%維持力低下 約600回着脱
25%維持力低下 約200回着脱
4. インプラント角度が30°
初回維持力が84.86N
75%維持力低下 約3000回着脱
50%維持力低下 約800回着脱
25%維持力低下 約350回着脱
5. インプラント角度が40°
初回維持力が78.04N
75%維持力低下 約2100回着脱
50%維持力低下 約500回着脱
25%維持力低下 約150回着脱
(参考文献)
Al-Ghafli, SA., Michalakis, K.X., Hirayama, H., Kang, K. : The in vitro effect of different implant angulations and cyclic dislodgement on the retentive properties of an overdenture attachment system. J. Prosthet. Dent., Sep, 10 (3) : 140-147,2009.
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下顎無歯顎には、2本のインプラントのインプラントオーバーデンチャーが費用対効果が高いと言われております。
インプラント上部には様々な種類のアタッチメントがありますが、その中でも最近では、ロケーターアタッチメントが人気があります。
その人気の理由は、薄い製品であるために、結果的に義歯に十分な厚みが残されるので、再製作ではなく修理で対応が可能なケースが多いことによるものと考えられます。
ただこのロケーターアタッチメントは、毎日の着脱により次第に維持力が低下してきます。
具体的には今回紹介した文献にもあるように、2本のインプラント埋入角度が可能な限り平行である方が維持力が比較的安定する傾向にあるようです。
それでも、50%維持力が低下するのに約1100回程度ですから、食後3回・就寝前で一日4回着脱したとすれば275日。
すなわち義歯装着時より9か月もすると、義歯の維持力がだいぶ低下してきていると言わざるを得ません。
またインプラントの埋入角度が40°の場合であれば、50%維持力が低下するのに約500回程度ですから、メーカーがアタッチメント交換が3-4か月と謳っているのもこのような場合を想定しているものと考えられます。
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