コーヌスデンチャーと認知症
・コーヌスデンチャーと認知症
複雑な設計のコーヌスデンチャーは、認知症が進むと着脱しにくく、清掃性も悪くなる。
装着しないまま咬合が変化して不適合になってしまっているケースが少なくない。
全身疾患などの変化を考え、義歯をメンテナンスしやすい形態に変える必要がある。
(アポロニア21 2018年4月号 )
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コーヌスデンチャーを推奨している歯科医師は、寝たきりになった際にも変化に対応しやすいと説明している方が多いです。
しかしながら、認知症の患者さんの歯科治療を多く手掛けている方の意見では、むしろコーヌスデンチャーの悪い面が出てしまっているという指摘があります。
ブリッジが力学的に適当ではないようなケースに対してコーヌスデンチャーを選択した場合、支台となっている歯牙が1本でも歯根破折等で抜去せざるを得ない状態になると、支える歯牙の数が減少しますから、軟らかいものしか食べていないのに義歯が痛いという状態になります。
義歯を入れても痛い場合には、次第に装着しなくなるのが人間ですし、支台となっている歯牙が挺出してきたり、傾斜してくると、ますます義歯をいれることすらままならなくなります。
また、咬めない状態が長く続くと、一層認知症の症状が進行するという他の研究報告もあります。
義歯の長期症例というと決まって登場するのが、このコーヌスデンチャーですが、そのようなケースの多くは、患者さんの年齢が若い時期から使用しているがゆえに、長期症例となっているケースが多いように感じます。
近年8020を達成している高齢者がかなり増加しているという背景を考えると、コーヌスデンチャーよりは必要な部位にインプラント治療を行う方が患者さんの利益につながると考えています。