インプラント周囲には角化歯肉が必要なのか?
インプラント周囲の角化歯肉の必要性に関して、Schrottらは、口腔衛生状態が良く、定期的なメンテナンスを行っている患者のインプラント周囲の角化歯肉がない(角化歯肉幅が2ミリ以下)場合、インプラント周囲粘膜の舌側のプラーク付着と出血、頬側軟組織の退縮が生じやすいが、頬側軟組織のプラーク付着と出血に関しては、角化粘膜の有無と相関がなかったことを報告している。
このことは、プラークコントロールが容易な頬側面は角化粘膜がなくても周囲粘膜の管理がしやすいが、その結果として退縮を生じやすく、プラークコントロールが難しい舌側には角化歯肉が必要であると考えられる。
(参考文献)
Schrott AR, Jimenez M, Hwang JW, Fiorellini J, Weber HP. Five-year evaluation of the influence of keratinized mucosa on peri-implant soft-tissue health and stability around implants supporting full-arch mandibular fixed prostheses. Clin Oral Implants Res. 2009 ; 20(10) : 1341-1350.
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インプラント周囲には、角化歯肉が必要か否かというディスカスションはよく話題に上ります。
角化歯肉がない場合、炎症が起きると歯肉が退縮するので、それ以上炎症が波及しにくく、歯肉退縮が生じるがゆえに、メンテナンスはしやすくなるのではないかと推察できます。
舌側歯肉は相対的に頬側よりも角化歯肉が存在する場合が多く、退縮が生じにくいがゆえに、周囲炎が進行しやすいのかもしれません。
また、インプラントは以前、歯があった場所よりも舌側寄りに埋入することが多いので、特に下顎では頬側よりも舌側が歯ブラシが入りにくい可能性もあります。
そうして考えると、『インプラントは優れた治療法であるということは間違いないにしても、天然歯と全く同じ状態にはならない。』ということになるでしょう。