抜歯と同時に歯が入る方法があります。
本日の患者さまは、重度の歯周病の方です。
すべての歯を連結固定をしているために、各歯牙の動揺度を把握することができません。
このような方の場合、レントゲンや歯周組織検査データから歯牙の状態を正確に把握し、その歯牙を残すのか残さないのか決断していかなくてはなりません。
もちろん、残した歯牙には、入れ歯のバネのかかる歯牙もありますから、それに耐えられるかどうかの判断も重要となります。
今回は上下で10本の歯牙を一回に抜歯し、同時に入れ歯を装着するという抜歯即時義歯というテクニックを使用することにしました。
この方法の利点は、抜歯と同時に入れ歯が入るので、見た目を損なう心配がないという点にあります。
すなわち、これだけの本数の抜歯をしているにもかかわらず、歯がない期間が全くないのです。
翌日、この方は抜歯した部位の消毒に来院されましたが、痛み腫れもなく、これまでずっと悩んできた口臭が嘘のようになくなったと嬉しそうな顔をされていました。
今後、残っている歯牙に対して、虫歯や歯周病の治療を行なっていくとともに、歯槽骨が十分に存在する部位には、ボーン・アンカード・ブリッジ(インプラント治療)を考えております。
同じように、抜歯と同時に歯が入る方法には、抜歯即時インプラントというテクニックももちろんあります。
しかしながら、今回のようにあまりにも歯周病の状態が不良なケースでは、先に抜歯を行ない、歯肉が治癒してから、インプラント治療に入る方が失敗のリスクを避けることが出来るのです。