連結インプラントの強度は上がるのか?

2本連結のインプラントの破折はすべて頬舌方向の破壊で、近遠心方向の破壊は一例もなかった。

2本を連結する効果は、近遠心方向の曲げ強度はおよそ4倍になるが頬舌方向の曲げ強度はほとんど変わらないので、頬舌方向の破折のみが観察されたものと推定できる。

インプラントの2本連結は応力の分散を期待して行われるが、今回の破折症例からみて連結は破折の防止ないし減少には必ずしも有効ではなく、別の手当てを考慮する必要があろう。


インプラント体の破折は、2本ともスクリューの先端から2番目のねじがかみ合わさっている場所で生じていた。

このことは、この場所がインプラント体に曲げ強度が働くときの支点になっていることを示している。

・連結インプラントの場合、はじめの1本が破折しても違和感がなく機能することが多い。

・インプラント体とアバットメントスクリューの接触状態はごく狭い面で接触するだけで、空隙の多い構造であった。

破折はインプラント体の谷に沿って、最も厚さの薄い場所を帯状に進んで1回転したのち、段差を作って連続した形で生じていた。

その帯の幅は約500μmで、この値はインプラント体のもっとも薄い場所に等しかった。

(日本歯科評論 2013年 1月号)

2013年1月10日

hori (15:56)

カテゴリ:インプラントについて

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