インプラントが上顎洞へ迷入するメカニズム
インプラントが上顎洞へ迷入するメカニズムに関しては以下のような仮説が報告されている。
1)上顎洞、鼻腔内圧の変化
呼吸により生じた鼻腔内および上顎洞内の陰圧により、インプラントが上顎洞内に吸引される。
2)インプラントに対する自己免疫反応
インプラント体周囲の感染、異物反応によりインプラント体が上顎洞へ迷入される。
3)不適切な咬合力
インプラントの補綴修復物により形成される不適切な咬合力により、インプラント体が上顎洞へ迷入される。
すなわち過重負荷によりインプラント体の初期固定が失われ、インプラント体が上顎洞へ迷入される。
1.インプラント体の埋入中にインプラントが上顎洞へ迷入する症例
たとえ上顎洞底拳上術を行っても上顎臼歯部の骨質が柔らかく上顎洞までの距離が短い場合に、インプラントを脆弱な骨質に埋入する手術操作により、インプラント体が上顎洞へ迷入してしまうと考えるのが妥当であろう。
2.インプラント体の埋入後に経時的変化を経てインプラントが上顎洞に迷入する症例
上顎臼歯部の骨質の状態が不良であり、さらに感染が加わると、オッセオインテクレーションが不良なインプラント体に対して、異物反応が作用したり、咬合圧が加わることにより、インプラント体が上顎洞に埋入してしまうと考えるのが妥当であろう。
(インプラントジャーナル 2013年54号)