歯周病患者の根面齲蝕リスクが高い理由
歯周病患者の根面齲蝕リスクが高い理由
1)プラークが堆積しやすい複雑な形態を有している歯根が露出している。
2)エナメル質はその約70%がハイドロキシアパタイトで構成されているのに対して、象牙質は約70%であるため、象牙質が露出した根面はエナメル質より脱灰しやすい。
つまり齲蝕を発症しやすいといえます。
In vitroの研究では、永久歯エナメル質の脱灰臨界pHが5.5-5.7であるのに対して、象牙質では約5.7-6.2とされ、象牙質の耐酸性はエナメル質のわずか1/5であるといわれています。
口腔内にはエナメル質には問題を起こさない程度の弱い酸を産生する細菌(lactobacillusなど)が多いのですが、それらの細菌も露出した根面にとっては大きな脅威となることがわかります。
3)唾液分泌量の低下
4)身体機能の衰えによるプラークコントロールの悪化
5)歯の喪失に伴う炭水化物中心とした柔らかい食物の摂取頻度の増加
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中高年の患者様のお口を拝見していると、歯冠はきれいな状態なのに、露出した歯根部から虫歯が発生しているケースが頻繁に見受けられます。
いくら歯冠の状態が良くても、虫歯を除去していくと、ほとんど歯が残らないということも少なくありません。
そのような状態になると、いわゆるフェルールがないために、長期に安定したクラウンやブリッジ治療を行うことはできません。
そうなると、治療プランは、インプラントあるいは義歯となります。
『若いころと比べると、歯が長くなってきた。』という認識がある方は、ご自分の歯を少しでも長く使用できるように、今回ご紹介した、"歯周病患者に根面齲蝕が発生しやすい理由"を理解されておくとよいでしょう。