インプラントは天然歯よりも感染防御の点で不利。
Hultinら(2000)は、部分欠損症とインプラントが埋入された後、10年間の追跡調査を行い、天然歯とインプラント、それぞれの周囲からプラークを採取し、細菌叢を比較しました。
結果は、インプラント周囲にはP.gingivalisやP.intermedia、T.forsythiaといった天然歯周囲のプラークと同種の歯周病菌がみつかっただけでなく、驚くべきことに、それらの細菌がインプラント周囲のプラーク中に占める比率は天然歯周囲のプラークと比較して有意に高かった。
やはりインプラントは天然歯よりも感染防御の点で不利であることが示唆されたといえるでしょう。
以上のことから、部分欠損歯列にインプラントを埋入する場合は、歯周病菌が天然歯から周囲のバイオフィルムからインプラント周囲に伝播することが考えられ、特に歯周病のコントロールがなされていない場合にはそのリスクは高く、いわゆる「インプラント周囲炎」に至る可能性が高いと考えられます。
(参考文献)
Hultin M, Gustafsson A, Kling BJ : Long-term evaluation of osseointegrated dental implants in the treatment of partly edentulous patients. Clin Periodontol 27 (2) : 128-133,2000.