エナメル突起と歯周病

阿部は、歯周病に罹患している患者の下顎大臼歯の約74%にエナメル突起が認められ、顎骨標本において、歯槽骨に吸収の認められる歯槽に埴立している下顎大臼歯の約90%にエネメル突起が認められ、またエナメル突起を有する上下顎大臼歯が埴立している顎骨標本と歯槽の約95%に歯槽骨の吸収が認められるとしている。

大臼歯のエナメル突起の存在と歯周病の発現には密接な関係があると述べている。

以上のことは、Grade3のような高度のエナメル突起が存在すれば、本来セメント質で覆われているべき根分岐部病変に上皮性付着が存在し、ひとたびプラークなどの起炎因子が根分岐部病変に波及すれば、早期に上皮細胞間結合が破壊され、ポケットの形成が生じることにより、根分岐部病変が形成されるものと考えられる。

このようなことから、根分岐部はプラークコントロールが難しく、長期にみれば2-3度の根分岐部病変は抜歯に繋がっていくことが多い。

・エナメル突起は圧倒的に頬側に多く発現し、上下顎の平均発現率は抜去歯で62.3%、頭蓋骨標本で71.0%となり、エナメル突起の発現率は欧米人と比較して、日本人、エスキモー人に高く、人種差があることが確認されたと述べている。

(長期症例から学ぼう 歯周治療の臨床ポイント より)

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歯周病とエナメル突起の存在には密接な関係があるため、歯周病に取り組んでいる歯科医師は、誰もが根分岐部病変の治療に苦慮しているといっても過言ではありません。

患者さんの歯を守るために、根分岐部病変に関するエビデンスを待ち望んでいます。

2014年2月18日

hori (15:16)

カテゴリ:インプラントについて

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