開口時に舌が大きく後退位をとる症例
舌は下顎義歯の設計や安定性に影響を及ぼすと考えられ、舌の大きさや開口時の舌のポジションを視診にて観察する必要があり、阿部は開口時に舌が大きく後退位をとる症例では、舌側の辺縁封鎖が難しくなり、その義歯形態は正常なものとはかなり違った形態となるとしている。
(クインテッセンス 2014年 2月号)
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舌は下顎骨に筋肉でつながっているため、舌が後退位をとる方は、下顎骨も後退しています。
(その多くは、下顎が小さい方が多いです。)
下顎骨が後退位にある方は、口を大きく開いてもらっても、上下の歯の間のスペースは術者には小さく感じられます。
すなわち、下顎骨が後退位にある人は、インプラント治療に限らず、どの歯科治療も相対的に術者がやりにくいのです。
(術者がやりにくいと感じる歯の治療は、治療成績も相対的に低下することになります。)
例えば、私が患者さんの6番目の歯の治療をしているのに、親不知の治療をしているような感覚になる方がいます。
そのような患者さんは、決まって下顎骨が小さく、咬み合わせの平面が急峻です。
(呼吸に問題を抱えていることも多く、口呼吸をしていて、歯ぎしり・食いしばりの程度も大きいです。
のどに水を溜めていることができず、よくむせるという方もいます。)
骨格的な問題を抱えている方は、そうではない方と比べて、やはり歯がなくなるスピードが早いです。
そのような方こそ、歯が十分ある場合は、歯列矯正を中心にした咬合再構成、機能できる歯が少なければ、インプラントによる咬合再構成が必要になります。