インプラント周囲炎やインプラント体破折の原因の一つに、フッ素が関係している。

・チタンは耐久性に優れているので腐食しないと考えている臨床家は多いと思います。
しかし、チタンは本来、活性な金属であるため非常に腐食しやすいのです。
耐腐食性および生体親和性に優れている理由は、酸化膜(TiO?)がインプラント表面を覆っているからです。
もし、その酸化膜が破壊されるようなことが起きれば、チタンはすぐに腐食が生じてしまいます。
実は、インプラント表面の酸化膜が破壊される原因は「フッ素」にあるのです。
・インプラントを埋入した場合、インプラント周囲ポケットや粘膜貫通部は外気から遮断されていますので、酸素濃度が1/10以下になるといわれています。
溶存酸素濃度が低い環境で酸化膜が破壊されると、酸化膜の再生が遅れ、耐食性が低下します。
したがって、口腔内で?フッ素?酸性化?低溶存酸素、この3つの条件が重なることで腐食が起こります。
・腐食が生じた場合の影響として、1つは腐食孔ができます。
腐食孔が開くと、それを起点とした応力集中が起こり、インプラント体が破折してしまうことがあります。
2つ目は、インプラント表面の粗造化です。
粗造化によって表面がざらつき、プラークがより付着しやすくなる状態を生成してしまうのです。
3つ目は、チタンアレルギーを誘発する可能性があります。
チタンが溶出することによって、皮膚に炎症がおこったケースもあります。
・インプラント体に付着した石灰化物を純チタン製以外の器具で除去すると、インプラント表面に鉄やクロム、ニッケルといった異種元素が残留してしまいます。
異種元素が残留すると、フッ素によってチタンの腐食をさらに促進してしまい、再骨結合に影響を及ぼす可能性が高くなると考えられます。
そのため、汚染された石灰化物は必ず純チタン製のキュレットで丁寧に除去することが基本となります。
(新聞 QUINT 2014年9月)
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『インプラント治療を受けた部位は、フッ素入り歯磨き剤で歯磨きをするべきではない。』という趣旨の記事です。
健康に良いと思って行っていることが、逆に思わしくない結果を導いているということの一例ではないかと思います。
正しい情報を収集したいものです。

2014年10月 5日

hori (07:36)

カテゴリ:インプラントについて

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