インプラントには、関連痛は生じるのか?

筋・筋膜性歯痛とは、非歯原性歯痛の中で最も多く認められる。
筋・筋膜痛症の患者の約11%が非歯原性歯痛を訴えており、その多くは咬筋に原因があるといわれている。
筋・筋膜性歯痛の臨床症状は、自発痛であり持続性の鈍痛を呈する。
咬筋以外に筋・筋膜性歯痛の原因となる筋肉には側頭筋、顎二腹筋、胸鎖乳突筋などがある。
筋・筋膜痛症では筋肉の触診にてトリガーポイントと呼ばれる筋肉のしこりを触れることができる。
このトリガーポイントを圧迫することで異所性の歯痛が誘発される。
患者が原因不明の歯痛を訴え、打診、温度診、麻酔診に明確に反応しない場合には、頭頸部の筋肉を十分に触診し、トリガーポイントを認めた場合に5秒間圧迫することで歯痛が再現されるかを確認することが重要である。
・咬筋の筋・筋膜痛症では上下顎臼歯部に、側頭筋では上顎の歯に関連痛を生じる。
顎二腹筋の前腹では下顎前歯部に関連痛を生じる。
胸鎖乳突筋では顔面頬部または臼歯部などに関連痛を生じる。
(参考文献)
Kim ST : Myofascial pain and toothaches. Aust Endod J, 31 : 106-110,2005.
Simons DG, Travell JG, Simons LS : Travell and Simons myofascial pain and dysfunction : the trigger point manual vol. 1. second ed, Williams & Wilkins, Baltimore, 1999.
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噛みしめの方向によって、どの部位の歯が咬合力を受け止めるのかは、当然のことながら変化します。
またその方向によって、どの筋肉がメインで働くのかも変化しますから、筋肉痛の部位も変化します。
ただ面白いのは、咬合力をそのときは受け止めていないはずなのに、筋肉の触診をすると、持続的な咬合力を受けていた歯の方も痛みを感じるということです。
これには、歯根膜-咬筋反射なども関連しているのだと思います。
脳内では、特定の筋肉痛と特定の歯痛を関連付けているということなのでしょう。
この関連付けは、おそらく歯根膜が関係しているでしょうから、歯根膜が介在しないインプラントでは、過大な咬合力がかかっても、脳内での筋肉痛との関連付けは起きない。
そしてさらに、インプラントは、歯よりも痛みを感じにくい構造になっているために、天然歯であれば壊れてしまうような咬合力がかかっても、痛みを感じにくい。
その結果、患者さんサイドが異常を感じるときには、手遅れの状態になっている場合があるのかもしれません。
やはりそのような意味でも、定期的なメインテナンスは必要ということになるのでしょう。
常に変化する天然歯と、変化量が少ないインプラントが共存するのが、口腔内なのですから。

2014年10月10日

hori (08:12)

カテゴリ:インプラントについて

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