インプラントケース : 42
今回のインプラントは、左下臼歯部。
長きに亘って、部分入れ歯を使用されてきた方でした。
歯の残存状態は、下顎前歯部7本と右下の親知らずの計8本、入れ歯のバネは左下小臼歯、右下犬歯、右下親知らずの3か所という状態です。
犬歯の形態はシャベルのような形態をしているので、小臼歯や大臼歯と比較すると、バネの効きが一般には弱く、主にバネが効いているのは、この方の場合、右側の2つのバネということになります。
今回のケースでは、右下親知らずへのダメージが予想通り大きくなっていました。
右下親知らずへのダメージを減らすためには、歯がないところにインプラント治療を行い、咬合力の過度な負担を減少させるのが得策と考えました。
まずは、左下臼歯部にインプラント治療を行なうとともに、既存の入れ歯を右下犬歯部で切断することで、入れ歯の大きさを3分の1にすることができます。
また、主咀嚼側は右から左へと変化することが予想できますので、右下親知らずのダメージも減らすことが可能となるのです。
今回のケースは歯槽骨の幅や高さは十分ありましたが、骨密度がやや高めでした。
このような方の場合、オーバーヒートを気をつけなくてはなりません。
ドリリング時に歯槽骨の温度が上がりすぎてしまうと、骨の細胞が死んでしまい、インプラントが失敗に終わる場合があるからです。
ただ、事前にCTによるシュミュレーションを行なっているので、骨密度も事前に数字で把握できていますので、問題はありません。
インプラントの分野でも『備えあれば、憂いなし』ということになります。