より安全なインプラント治療を目指して : その3
堀歯科医院では、インプラント治療に先立ち、CTによるシュミュレーションを行っております。
今回のインプラントは下顎臼歯部を中心に行うことなりますが、シュミュレーションでは、下顎が内側にくびれた形態であることが判明しました。
そのような歯槽骨が内側にくびれた形態の場合、CT撮影なしでは内側に穿孔するリスクが高まります。
また歯槽骨の骨密度が数字で評価できるので、インプラント埋入前にドリリングがどの程度スムースに行うことができるかの予想が出来ます。
また歯槽骨は皮質骨という硬い骨と海綿骨という柔らかい骨で構成されており、外側の皮質骨の厚い場合には当然麻酔が効きにくいことが予想されます。
予め麻酔の量を増減させることも可能となるのです。
患者さまサイドでは、硬い歯槽骨の方が埋入したインプラントは長期安定に役立つだろうと考える方も多いのですが、あまり歯槽骨が硬すぎる場合には、逆に結果が悪くなることも少なくありません。
これはドリリングの際に熱が発生してしまうために、骨細胞が壊死を起こしてしまう場合や、そもそも硬い骨には生きた細胞が少ないために、インプラントと歯槽骨とのオステオインテグレーションがスムースに行われないという欠点があります。
かつてはCT撮影せずにインプラント治療を行う歯科医師がほとんどでしたが、現在はインプラント治療時にCTデータを使用する歯科医師が増えてきていると聞きます。
『CTなしでインプラント治療をする歯科医師は暗い夜道を提灯を下げて歩いている状態とすれば、CTデータをもとにインプラント治療を行っている歯科医師は、キセノンライトを下げて夜道を歩いている状態である。』という例えを、とあるインプラントセミナーで聞きました。
(CTなしでもインプラント治療は可能ではあるが、情報が少ない状態でのインプラント治療となるために、予期せぬ失敗が発生しやすいということです。)
提灯でもキセノンライトでもそれを携えて夜道を歩くことはできますが、キセノンライトをぶら下げて歩くことに慣れてしまった人間は怖くて提灯に戻ることは出来ません。
昔から提灯を下げて歩いてきた人間はそれが実は怖いことであると認識時点で、キセノンライトに変更すればよいというお話でした。
これはインプラントに関連したたとえ話ですが、日常生活でもたとえ話を有効に活用することで、話を聞いている相手の理解が深まるというケースは少なくないことでしょう。