入れ歯を拒否し続けた65歳女性の話 その2
前回のコラムで、毎日の食事をつくるお母さんが歯の治療を疎かにすることによる意外な影響についてお話しました。
軟食を続けていると、族全員が高血圧、糖尿病、肥満をはじめとした生活習慣病になるというのがその要旨です。
(現に、この方のご主人は、すでに高血圧、糖尿病を患っており、ご家族全員が肥満という状態でした。)
この中の糖尿病は実は歯周病と密接な関係があります。
糖尿病が悪くなると、歯科で一生懸命に歯周病の治療を行っても、その効果はなかなかでません。
現実的には歯を失ったところにはインプラント治療を受けてしっかり咬めるようになるのが一番です。
ですが、まずは入れ歯を口に入れておくことから始めてみてはいかがでしょうか。
そして、それができるようになったならば、次は入れ歯を使いこなすようになることが目標となるわけです。
(義足を使いこなすためには、まずはそれをつけておくこと自体に慣れた後に、歩く練習をするのと似ています。
ちなみに、義足と義歯を比較した場合に、母集団の数に違いがあるからかもしれませんが、義歯の場合は、ある一定数の患者様が、入れ歯を製作した瞬間に使いこなせるものだと勘違いしています。)
このようなタイプの方に特徴的なのは、歯の欠損の数が少ない時期に、すでに入れ歯を使用することを拒否し、それから数十年の年月が経過している点にあります。
70歳近い年齢になって、突然大きな入れ歯を入れることに拒否反応を示す方は意外と少なくありません。
昔にタイムスリップすることができるのならば、まずは『小さい入れ歯を億劫がらずにお口に入れておくべきだった・・・。』ということになります。