こんな身近に、人生の師が!

基本的には私が最初に電話に出ることはないのですが、妻が震災後の片づけをしていてすぐには出れない状態だっとので、私が電話に出ることにしました。


電話機に表示されている相手方の番号は「023」。

 

山形からの電話かもしれないと思いました。

電話に出てみたところ、声に覚えのない老女の声。

 

相手は何と私の祖母に世話になったという方からの電話でした。

話を聞いて見ると、『当時山形県酒田市で高校の教員をしていた祖母に、学生時代に一生懸命指導をしてもらい、ずっと感謝して生きてきたこと。その後も時折連絡を取り、"良い関係"を続けてきたこと。


 

東日本大震災後、無事なのか心配になっていてもたっても居られなくなったことなどを伺うことができました。

 

祖母は2年前に88歳で亡くなりましたが、初期の頃の学生との年齢差は5歳程度ですから、電話をかけてこられた方の年齢は80歳前後と推察されます。


ということになると、彼らが良い関係を続けてきた期間は、おそらくおよそ60年という長さ!

 

年齢を重ねれば重ねるほど、祖母とは同世代といっても過言ではない年齢となっていたのではないでしょうか。

全身全霊をかけて目の前の仕事に没頭した結果、60年という長い年月がたっても、相手はいまだに感謝の念を持ち続けていたという場合があるということを知りました。


祖母と私は職種は異なれど、同じ士業。

 

相手を心の底から思っての行動は、相手の心の長く残り、時に相手の人生までも変えてしまうのだと切に感じました。

私も今まで自分なりには頑張って仕事に打ち込んでいましたが、こんな身近な所に、ある意味"人生の師"といっても過言ではない人間がいたということを今の今まで知りませんでした。


私が施術した患者さまの中には、不幸にも20代でインプラント治療を受けられた方もいます。

 

その方の平均余命は60年程度と考えることができますが、今回の電話のやり取りを通して色々な思いが頭をよぎりました。

(60年後、その方が命を全うしようとき、現在お口にあるインプラントまだ機能しているのだろうか。

人生を振り返って、堀歯科医院で治療を受けたことに喜びを感じていただけるのだろうか。

そのように考えると、やはり自己研鑽は可能な限り行わなくては相手に失礼ではないのか。)


私の両親も歯科医師ということもあり、たとえば入れ歯を一つ作る時でさえも、『両親に負けない入れ歯を作ろう。』という思いがあります。

今回、祖母とその教え子の"良い関係"を目の当たりにし、仕事に対する心意気という意味では、祖母に負けないくらい一生懸命仕事に打ち込もうという思いが強まりました。

2011年4月21日

hori (08:06)

カテゴリ:コラム

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