インプラント四方山話 : その1
インプラントセミナーで横浜出張でした。
今回の講師は大学病院のインプラント科の歯科医師。
いくつかの大学病院のインプラント治療の現在の状況についておぼろげながらに理解することができました。
昨今、多くの大学病院でインプラント治療は行われていますが、インプラントの症例数は必ずしも多くはないという印象を受けました。
その理由を考えるに、開業歯科医師はインプラント治療を行う際に、1本のインプラント埋入に対しても、径や長さの異なるインプラントを複数用意し、 実際の条件に合わせて埋入するインプラントを選択することが一般的ですが、大学病院ではそのようなことが許されない条件下でインプラント治療を行っている ことが多いそうなのです。
すなわち、インプラントに関するあらゆる詳細な検査を行うことは可能でも、当日のインプラントオペに関しては、全く予定変更が効かないということなのです。
(確実に埋入可能なインプラントのみ施術するということになるのでしょう。)
また別のインプラントセミナーで私が懇親会でお会いした大学病院勤務の歯科医師の話では、誤って床に落とした場合のインプラントの予備すらも少し前までは許されなかったと聞きます。
(交渉につぐ交渉の末、それについては、現在は改善されたそうですが。)
そのようなある意味過酷な条件でインプラント治療を行うことを余儀なくされている大学所属の歯科医師は、当然のことながら、現在話題に上ることが多 い即時負荷インプラントについて、積極的にエビデンスを集めていこうという流れが起きにくいのではないかと考えてしまいました。
質疑応答の中で、即時負荷インプラントを行っている割合は、ある大学病院のインプラント科では、1%にも満たないとのことでしたので、いかに大学病院では即時負荷インプラントが主流ではないということが分かりました。
今回お聞きした中でもっとも高い大学で13%程度でした。
即時負荷インプラントに対するコンセンサスはまだまだ不完全である印象があり、開業歯科医師のインプラントロジスト仲間の間では、大学所属の歯科医 師にそれに対するクライテリアを求める期待が大きくなっている状態かと思うのですが、大学の状態を考えると、私たち開業歯科医師が率先して即時負荷インプ ラントについてのEBMを確立しなくてはならないのかもしれません。