堀歯科医院のインプラント治療 7つのコンセプト
痛み・腫れがほとんど無い治療を心がけている
丁寧なカウンセリング
全国に広がるインプラント専門医院との連携
しっかりとしたフォローアップ
常に最新情報を取り入れている
術前の診査・診断をきっちりしている
最終補綴物の咬み合わせの調整経験が豊富
私たちがインプラント治療行う意義
インプラント埋入のためのステントを作製しました。
インプラントのシュミュレーションを行うために必要となるのです。
今回のインプラントは、下顎左側4・5・6・7番相当部、右側7番相当部。
左側の7番はブリッジの土台として使用していましたが、歯根破折により抜歯となり、5番も歯牙の動揺が大きく保存困難だったため、抜歯になりました。
今回のケースのように、咬合力が過大な場合、良く咬める所から歯牙が壊れてくることが多いです。
後ろに入れ歯が入っていても、やはりその時存在する最も後ろの歯牙が壊れてくることが多いように思います。
人は入れ歯を入れていても、やはり一番咬めるところで咬みたいのかもしれません。
そしてその場所は多くの場合、自分の歯牙のあるところ、いわゆる入れ歯のある場所ではないのです。
その歯牙が負担できる以上の力がかかってしまうから、その歯牙はだめになるのです。
その一本の歯牙を守るために、私たちはインプラント治療を行っているのです。
インプラント治療にはやはり診査・診断が重要!
インプラント埋入希望の方のCTシュミュレーションが完了しました。
今回のインプラントは、骨の高さも幅も一見すると十分にあるのですが、下顎骨形態が舌側に大きくくびれている症例で、ファイナルの方向まで考えると、インプラント埋入のベストな方向と長さは、『この一点しかない!』というくらい、実は難易度の比較的高い症例でした。
CTによるシュミュレーションを行った場合、そのような下顎骨形態は一目瞭然で判断できますが、仮にCTによるシュミュレーションをしない場合、手指や器具によるボーンサウンディングが必ず必要となります。
最近、各種インプラントメーカーも競争が激化しているからか、『掘って埋めればくっつきますから、使ってくださいよ〜。』などといった非常に安易な言葉で営業をかけてくるインプラントメーカーもあります。
CTは一つの診査手法でしかないことには違いありませんが、営業の言葉を真に受けて、ろくに診査をすることなくインプラント治療を行うことは、大変危険であるだけでなく、将来的にインプラント治療に対する国民の信頼を損ねる可能性もあります。
堀歯科医院ではこれまで特に失敗もなく、インプラント治療を行ってきておりますが、やはり常に術前の診査・診断を確実に行い、これからも安心・安全・確実なインプラント治療を進めていきたいと今更ながらに思いました。
インプラントで上顎前突解消!
上顎前突症の改善を目的に、インプラント治療を行ないました。
日本人は歯並びが悪い方が少なくありません。
またその中でも上顎前突症の方が多いように感じています。
上顎前突症とは下顎の前歯よりも上顎前歯が大きく突出した状態のことをいい、年齢も若く、被せの数も少ない方の場合には、第一選択は歯列矯正ということになります。
ところがその一方で、歯列不正が気になりながらも、成人を迎えた方も少なくありません。
そのような方の場合、突出した前歯を抜歯して、インプラント治療で口元の突出感を減らすのも有効な改善方法です。
抜歯即時インプラントの場合、インプラントを口蓋側に垂直埋入するのが基本ですので、上顎前突の患者さまの審美改善にはまさにうってつけの方法かと考えております。
しかも今回のケースでは、抜歯と同時にインプラントを埋入し、仮歯もその日に入れるオペを遂行しているので、堀歯科医院に来られたときと比較して、お帰りになる時には口元の印象に変化が認められるのです。
歯列矯正は歯を削合する量が少ないというのがメリットの治療オプションですが、通常2年程度の治療期間を要します。
こうして考えると、一日で口元の印象が変わるという点では、上顎前突症においては、歯列矯正よりもインプラント治療に分があると感じるようになりました。
(抜歯矯正とインプラントによる審美治療を比較すると、どちらにしても抜歯を行いますので、治療期間の面で、抜歯矯正よりはインプラントによる審美治療の方に分があります。)
これからも若いころに歯列不正を気にしながらも、歯列矯正治療を受けることなく現在に至る方々に、インプラントでの審美治療を提供していきたいと考えております。
オールオンフォーは清掃性が悪い術式である。
・昨今、治療期間の短縮や外科的侵襲を最小限とする目的から、既存骨に意図的にインプラントを傾斜埋入する術式が紹介されているが、インプラントに支持された補綴物周囲は非常に清掃しにくい環境となることから予後に不安を残す処置となる。
よって、歯槽骨の欠損を伴う部位にインプラントを埋入する際には、既存骨内に埋入することを優先するのではなく、修復の計画から見て形態的・力学的に好ましいインプラントの位置を三次元的に推定し、可能な限りその位置に埋入するよう心掛けるべきである。
(ザ・クリニカルデンティストリー 成功に導くためのエッセンス より)
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私がオールオンフォーという術式を好まない理由は、このオールオンフォーではインプラントの傾斜埋入がほぼ必須だからです。
インプラントを傾斜埋入すると、垂直埋入と比較して清掃性が悪いために、インプラントの長期安定に不安があるからです。
また、インプラントに対して、40度まで角度を自由に変えることができるアバットメントは、N社が特許を持っており、他社の多くは17度までの角度付きアバットメントしかありません。
(N社の40°角度付きアバットメントの特許がもう切れているはずですが、類似品が出たとの報告は私はまだ聞いておりません。
既存骨に傾斜埋入を考える場合、40度の角度付アバットメントは大変魅力的というか、シビアなケースではなくてはならないものとなります。)
また、オールオンフォーは、発音障害や異物感を減らすために、上部構造体を歯肉に密着させるために、ますます清掃性が悪くなります。
さらに、N社のインプラントの表面性状は、タイユナイトというものなのですが、このタイユナイトは他の表面性状と比較して、インプラント周囲炎になりやすいという研究報告があるのも、私がオールオンフォーを"是"としない理由の一つになります。
ハイブリットデザインのインプラント
・これ以上インテグレーションのスピードを追求する必要はないでしょう。
次世代のインプラントとして、私が期待するのは、"守り"のコンセプトを持っていて、既存の製品と同じ性能であるようなものです。
実際にインプラントの上部まで粗面だと、インプラント周囲炎の治療をした際、ラフサーフェス部からバイオフィルムを含む付着物がなかなか取れないです。
今は超音波器具を始めとしていろいろなツールもありますが、それらをつかってもやはり難しい。
それでも取る努力をする。
ガーゼでゴシゴシこする。
これで間違いなく綺麗になっただろうと思ってマイクロスコープで拡大してのぞいてみると、結構汚れが残っているんですよね。
・インプラント周囲炎では、歯周病より治りにくいことが分かっていますので、歯周病以上にデコンタミネーションを適切に、より高いレベルで達成できないといけません。
それが可能な表面性状がより良いと考えています。
その考えからすると、ハイブリットデザインが現状では理想に近いのかなと。
ハイブリットデザインのインプラントを用いた場合は、インプラント周囲炎の早期発見が責務になります。
早期に発見できて、3スレッドくらいまで機械研磨表面なので非常に清掃がしやすい。
となると、骨吸収を止めるチャンスが1回増えるわけです。
これはメリットが大きいと思います。
もしすべてが粗面だと、一感染したら、そこから吸収は止められずにインプラントの喪失につながってしまうかもしれません。
ですから、インプラントには「骨吸収を起こしにくい」という要素も大事ですが、「骨吸収を起こしても、インプラント周囲炎に罹患しても対処しやすい」という基準で開発されたインプラントがあってもよいと思います。
(インプラントYEAR BOOK 2015 )
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インプラントの表面性状は、時代とともに表面がつるつるした機械研磨から粗面へと変化してきました。
表面性状を粗面にすることではいくつかのメリットがあります。
一つは、ショートインプラントを使用することで、以前であれば大掛かりな骨造成をしなければインプラント治療自体が不可能であったケースでも治療可能となったことです。
二つ目は、骨結合までの時間が短縮されたために、治療期間を大幅に短縮することも可能となりました。
しかしながら、機械研磨インプラントの時代にはあまり話題にならなかったインプラント周囲炎が近年問題となってきました。
ある意味、当然の結果ともいえます。
例えば、オールオンフォーのように、インプラント手術をした日にすぐに咬める歯が入るような治療方法では、少しでも早くインプラントが骨結合して欲しいので、"特別な"粗面でなければならないのだろうと思います。
インプラントメーカー同士や歯科医院同士の過当競争により、"少しでも早く咬めるようになる"が、半ば合言葉のような状態になっていたようにも感じます。
言わば行き過ぎたスピード志向が、インプラント周囲炎の程度を重篤なものにしたのかもしれません。
(現に、オールオンフォーで使用される旧ノーベルバイオケアのインプラントのタイユナイトという表面性状は、他のインプラントの表面性状よりもインプラント周囲炎になりやすいという報告があります。)
現代の日本人は世界的にみても長寿の傾向にあります。
『少しくらい早く咬めるようになること』よりも、『長期に亘って安定した状態を維持しやすいインプラントの形態や表面性状はどのようなものなのか』を歯科医師やインプラントメーカーは十分に考えていかなければならないことでしょう。
そういう視点に立つと、今回紹介したハイブリットデザインのインプラントというのも面白いのではないでしょうか。