治療コンセプトの最近のブログ記事
ハイブリットデザインのインプラント
オールオンフォーは清掃性が悪い術式である。
インプラントで上顎前突解消!
上顎前突症の改善を目的に、インプラント治療を行ないました。
日本人は歯並びが悪い方が少なくありません。
またその中でも上顎前突症の方が多いように感じています。
上顎前突症とは下顎の前歯よりも上顎前歯が大きく突出した状態のことをいい、年齢も若く、被せの数も少ない方の場合には、第一選択は歯列矯正ということになります。
ところがその一方で、歯列不正が気になりながらも、成人を迎えた方も少なくありません。
そのような方の場合、突出した前歯を抜歯して、インプラント治療で口元の突出感を減らすのも有効な改善方法です。
インプラント治療にはやはり診査・診断が重要!
インプラント埋入希望の方のCTシュミュレーションが完了しました。
今回のインプラントは、骨の高さも幅も一見すると十分にあるのですが、下顎骨形態が舌側に大きくくびれている症例で、ファイナルの方向まで考えると、インプラント埋入のベストな方向と長さは、『この一点しかない!』というくらい、実は難易度の比較的高い症例でした。
CTによるシュミュレーションを行った場合、そのような下顎骨形態は一目瞭然で判断できますが、仮にCTによるシュミュレーションをしない場合、手指や器具によるボーンサウンディングが必ず必要となります。
最近、各種インプラントメーカーも競争が激化しているからか、『掘って埋めればくっつきますから、使ってくださいよ〜。』などといった非常に安易な言葉で営業をかけてくるインプラントメーカーもあります。
CTは一つの診査手法でしかないことには違いありませんが、営業の言葉を真に受けて、ろくに診査をすることなくインプラント治療を行うことは、大変危険であるだけでなく、将来的にインプラント治療に対する国民の信頼を損ねる可能性もあります。
堀歯科医院ではこれまで特に失敗もなく、インプラント治療を行ってきておりますが、やはり常に術前の診査・診断を確実に行い、これからも安心・安全・確実なインプラント治療を進めていきたいと今更ながらに思いました。
私たちがインプラント治療行う意義
インプラント埋入のためのステントを作製しました。
インプラントのシュミュレーションを行うために必要となるのです。
今回のインプラントは、下顎左側4・5・6・7番相当部、右側7番相当部。
左側の7番はブリッジの土台として使用していましたが、歯根破折により抜歯となり、5番も歯牙の動揺が大きく保存困難だったため、抜歯になりました。
今回のケースのように、咬合力が過大な場合、良く咬める所から歯牙が壊れてくることが多いです。
後ろに入れ歯が入っていても、やはりその時存在する最も後ろの歯牙が壊れてくることが多いように思います。
人は入れ歯を入れていても、やはり一番咬めるところで咬みたいのかもしれません。
そしてその場所は多くの場合、自分の歯牙のあるところ、いわゆる入れ歯のある場所ではないのです。
その歯牙が負担できる以上の力がかかってしまうから、その歯牙はだめになるのです。
その一本の歯牙を守るために、私たちはインプラント治療を行っているのです。
インプラントで負のスパイラルを断つ!
メール相談で、『歯磨きを頑張って行っていても、どんどん歯がなくなるような気がするのですが、年のせいですか?』と聞かれたことがあります。
これについて、今日は私なりの解釈をしていきたいと思います。
このような質問をする方の中には、少なからず歯医者に不信感を持っている方すらいるようです。
『歯磨きもしっかり行っているし、自分には落ち度はない!』とお思いなのでしょうが、まずは本当に歯がきっちり磨けているのかと言う点ですね。
現在では、歯磨きを一日に平均で2回から3回は行っている方が大半で、一度も歯を磨かないという方は少数であると考えられます。
磨いていることと磨けているということは違うということでしょうね。
次に考えられることは、これまで歯を喪失したときに一般的歯科治療とされてきたものは、ブリッジや入れ歯であるという点です。
ブリッジにしても入れ歯にしても、どんな高名な歯科医師・技工士が作製に携わったとしても、所詮残存歯の犠牲の上に成り立っている治療方法だということです。
若い頃と比較し、咬合力はそれほど低下していない状態で、その咬合力を受け止めている歯牙の数が減少していたら、1本にかかる咬合力は喪失した歯の数が増えるたび毎に、増大することになります。
まして歯のない部分の咬合力まで、残存している歯牙で受け止めるわけですから、長期的にみてやはり残存している歯は壊れてくることは当然でしょう。(よく咬める歯ほど壊れるということになります。 )
特に咬合力が過大なタイプの方が、咬合力を受け止めるポテンシャルがもともと高い第一大臼歯を喪失した場合、そこから負のスパイラルに入ることは想像に難しくないと思います。
一番重要なことは歯を喪失しないことであることは言うまでもありませんが、もし歯を喪失することになったら、第一選択の治療方法はやはりインプラントであるということになります。
そこに1本のインプラントを埋入することで、他の歯牙の寿命が延びるということになります。
すなわち、インプラントは予防歯科という位置づけになると私は考えています。
インプラントの安定性
堀歯科医院では、インプラント治療の際に、CTによる画像解析を行っております。
今回は下顎両側4・5・6・7番相当分に、8本埋入予定の患者さまのインプラント埋入シュミュレーションが郵送されてきました。
この方は歯磨きも上手で、歯周病のメンテナンスにも定期的に来院される大変生真面目な方です。
それでも下顎の臼歯部はほぼ全滅で、長らく部分入れ歯を使用されていました。
歯磨きが上手なのに、歯をどうして喪失する結果となったのか。
その原因のひとつには、負担可能以上の力が歯にかかってしまったことが考えています。
そのため、クリーニングを繰り返し行っていても、それだけでは十分ではありません。
入れ歯やブリッジなど残っている歯に負担が大きくかかってしまうような治療方針を選択することで、残っている歯の寿命が短くなってしまっていることを知る必要があるでしょう。
インプラントが長期に亘って安定するためには、力のコントロールも重要であるということです。
現在、インプラントを埋入すること自体は、それほど困難ではなくなりました。
でも、インプラントを長期に亘り安定して使用できるかどうかは、実は咬み合わせを専門とする歯科医師が、いかにインプラントにかかる力をコントロールできるかによる部分も、結果に影響を与えると考えています。
私も"咬み合わせ認定医"ですが、本物の"咬み合わせ認定医"であると認定してくれる相手は、実はそれを私に与えた"顎咬合学会"
ではないと考えています。
私が思うに、本物の咬み合わせ認定医と認定してくれる相手は、堀歯科医院に来院しインプラント治療を受けた患者さま、ひとりひとりであり、
それは、10年後、20年後に、私に対して、そして堀歯科医院に対して下されるものと考えています。
堀歯科医院では、私にしてもはるみ先生にしても、毎週のようにセミナーに出かけては、研鑽を続けていますが、20年後に本物の"
咬み合わせ認定"、"本物の優秀な歯科医師"という評価を頂くことができるようにするための必要条件であると考えています。
インプラントは予防歯科である!
インプラント治療は予防歯科です。
歯を何らかの原因で喪失した場合、その後の方法としては、インプラント、入れ歯、ブリッジがあります。
入れ歯は、自分の歯と同じくらい咬もうとすると、痛みが出るので、しっかりと咬ませることはできません。
『自分の歯と比較すると、入れ歯は2割くらいしか咬めない。』という論文もあるくらいです。
ということは、咬合力が一定であるとすれば、咬合力は残された自分の歯により多くかかるということになります。
さらに残された歯は、入れ歯が動かないようにバネで固定されています。
そして咬むたびに、入れ歯は粘膜の厚さ分沈下します。
しかしながら、バネは歯にぴったりと合っているわけですから、歯は毎日少しずつ動かされてしまいます。
このようにして、『入れ歯を固定する歯、あるいは残された歯で最も咬める歯から、どうしても歯がなくなってしまう。』ということが、私が毎日歯科臨床に携わってきて、目にする現実です。
患者さまは、歯さえ磨いていれば、きれいにしてさえいれば、歯は一生もつと考えている方も少なくないのですが、このように歯にかかる力を中心に考えてみると、歯を磨いていても歯を喪失するケースがあるということがご理解できたのではないでしょうか?
次に歯を喪失した際に、ブリッジを入れた場合です。
ブリッジは喪失した歯の両側を削って歯を入れる方法ですが、2本の土台に3本分の咬合力がかかるわけですから、長期的に診た場合にはやはり、いずれかの土台がダメになることが多いのが現状です。
そして、2本の土台のうちの一本が抜歯となれば、次は土台が2本のブリッジが入りますから、土台が2本で4本分の咬合力がかかる設計となります。
どんどん無理な設計になっていくということになります。
すなわち、ブリッジを治療方針に選んでいる限り、負のスパイラルから抜け出すことは不可能だということになります。
やはり入れ歯にしても、ブリッジにしても、残された自分の歯に過大な咬合力がかかることから、早期に歯を喪失結果となります。
咬合力を中心に考えた場合、より多くの歯に力を分散させることが何よりも重要であるということになります。
そして力を分散させる最も有効な方法がインプラントであるということになります。
インプラントは自分の歯と同じくらいしっかりと咬合力を受け止めることができることから、インプラント治療を行うことにより、残された歯がより長くもつことになるというのは、考えてみれば当たり前のことであると言わざるを得ません。
それが、『インプラント治療は実は予防歯科である!』と私が考える所以です。
インプラントの実績
「先生はインプラントの実績はありますか?」
堀歯科医院ではこんな質問メールを受けました。
そもそもインプラントに限らず実績とはどのようなものでしょうか?
インプラントで言えば、埋めて「はい!おしまい。」というものではなく、その後長期間に渡って問題なく使用できているかというところが何よりも重要であるはずです。
何本埋めれば実績があるのでしょう?
誰と比べて多ければ実績があるといえるのでしょう?
お金を有効に使いたいという気持ち、失敗したくないという気持ちは十分に分かるのですが、それについて、
こちらは答えようがないように思います。
インプラントは歯科治療の中でも歴史の浅い治療法です。
30年〜40年というところかと思います。
その間新しいシステムが生まれては消えていきました。
また各企業もより良いインプラントを模索している感があり、少し前に良しとされていたシステムがもう販売されていないこともあります。
材料も日進月歩で、マイナーチェンジのスピードは本当に早く、私が以前埋入したインプラントは特に問題なく使用できている
としか患者さまにもお伝えできません。
同一のインプラントを一定数以上埋入し、長期に渡り経過観察しないことには、そのシステムについての実績があるとは言えないように思います。
インプラントを考える歯医者
インプラントは今後ますます必要とされる治療法です。
ただ、インプラントを希望される患者さまというのは、そもそも何らかの原因で、歯牙を保存できずに抜歯に至っているはずです。
そしてむし歯や歯周病、歯根破折がその原因として挙げられることと思います。
インプラントそれ自体はむし歯にはなりませんが、抜歯をした後でも、歯周病や歯根破折が発生しやすい体質は依然として存在しているわけです。
(インプラントも口腔衛生状態不良による細菌感染や負担できる以上の力を受けた場合など歯牙と同様に使用不能となります。)
そのような患者さまには十分に診査・診断してから、インプラント治療を行う必要があります。
インプラントを埋入するのは、それほど困難な治療ではありません。
しかし、症例によっては、自分の歯の代わりとしてインプラントを使用するのは困難な場合があります。
堀歯科医院では、私と歯科治療を通して、
一生付き合って行くくらいの気持ちで、定期健診に来院される方以外には、インプラント治療を行いません。
また歯ぎしりや食いしばりなどで歯牙を喪失した方には、インプラントを希望されてもこちらからお断りする場合すらあります。
抜歯に至った経緯やその背景を重視し、インプラント治療を行うべきだと考えています。