P.gingivalisがもっとも病原性の高い歯周病菌なのか。
800種ともいわれる口腔細菌でなぜP.gingivalisがもっとも病原性の高い歯周病菌なのか。
それは強力な病原因子をたくさん持っているからです。
病原因子は細菌の武器そのもの。
P.gingivalisほど強力な武器をもっている口腔細菌は他にはいません。
P.gingivalisの病原因子の中で、特に強力なものは線毛とジンジパインです。
線毛はバイオフィルムを形成したり、歯周組織に侵入したりするために必要な付着因子です。
そしてジンジパインは歯周組織やバイオフィルムのタンパク質を分解する酵素です。
またジンジパインは付着因子としてもはたらきます。
(歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト )
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P.gingivalisがもつジンジパインというタンパク質分解酵素は、タンパク質をペプチドに変えます。
ペプチドはP.gingivalisの栄養となります。
また、ジンジパインの遺伝子をすべてノックアウトしたP.gingivalis変異株を、タンパク質を唯一の栄養源とする培地で培養しても、この株はほとんど増殖しませんでした。
このことにより、P.gingivalisはジンジパインがなければ栄養補給することができず、生きていけないことが明らかになりました。
一方、固いお肉とパパイヤを和えると驚くほど肉が柔らかくなるのも、パパイヤがもつパパインというタンパク質分解酵素が肉の筋を切ってくれるからです。
これと関連して、ジンジパインはパパインと同じ種類のシステインプロテアーゼというタンパク質分解酵素なので、gingivalisがもつpapainということで、ジンジパインと名づけられました。